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仕事に疲れ果ててヤブイヌを見に行った
デイリーポータルZに記事を書きました。

yabu900.jpg


この記事を書いてスピッツの1stアルバム『スピッツ』を聞き直したんだけど、その作品としての素晴らしさには何度でも感動できる。



若い世代には小学校歌集に載っている『チェリー」』のイメージが強いみたいだけど、スピッツは僕らの世代(昭和50~55年生れぐらい)の文化系男子&女子に対してすさまじい衝撃を与えたバンドだった。
とくに創刊されて間もなかった「ダヴィンチ」とかを読んでいた文学系男子女子に対する影響力たるや、まさに絶大で、スピッツの表現に目を向けずに青年期を終えることはほぼ不可能だったと言えるほどである。
まさに時代と文化を作ったと言えるほんとにすごいバンドなのだ。



↑「スピッツみたい」という感覚は僕らの世代にとってもはや共通語ですらある


スピッツの歌詞には、叙情的・叙事的なそこらのJポップの歌詞とは一線を画した独創性があり、これまで見たことも無かった現代詩の香り漂う「叙物的・叙言的」な詩に触れた僕らは心を打ち砕かれるような衝撃を受けたものだった。

『死神の岬へ』(一部)
♪愛と希望に満たされて だれもかもすごく疲れた
♪そしてここにいる二人は 穴の底で息だけしていた
♪古くてタイヤもすり減った 小さな車で出かけた
♪死神が遊ぶ岬を 目指して陽が昇る頃出かけた

♪そして二人は見た 朽ち果てた廃屋を見た 
♪ガードレールの傷を見た いくつもの抜け道を見た 


すごい。

そしてセールス的にも知名度的にも絶頂と言えるのが6thアルバムの『ハチミツ』で、最近、曽我部恵一さんたちにトリビュートされることでも話題になった一枚だ。
http://natalie.mu/music/news/162360


ミリオンセールスのアーティストが、アルバムに『ハチミツ』と命名するなんてこと当時としては異色の出来事で(だって当時は小室哲也とかB`zの絶頂期だ)、もうアルバム名だけでくらくらする思いになったものだが、これは正宗さんがずっと温めていた言葉で、いつかタイトルにしようと狙っていたらしい。

この話を含めてすべてラジオで語っていたことだが、スピッツははじめの頃CDがあまり売れなかったので、もう少し世間に迎合した歌を出した方がいいかと、だんだん「世間並み」の曲名をつけるようにしていったらしい。
(それが『君が思い出になる前に』、『裸のままで』あたり)
しかし、「スピッツらしさ」を前面に押し出してもどうやらいいらしい、ということが分かってきたので、それはやめて、5thの『空の飛び方』あたりからやっぱり自分たちらしくすることにしたらしい。



そうして満を持して生まれたのが6th『ハチミツ』だ。
この言葉を使えた正宗さんの嬉しさを想像すると、胸にこみ上げるものがある。ぼくなんかまさに、正宗さんがそうやってつくりあげた世界にあこがれ、大学時代に詩を書き始めたようなものだ。

というわけで、いまでこそ若者には『チェリー』のバンド、としか思われていないが、機会があったら『ハチミツ』、『空の飛び方』そして『スピッツ』ぐらいは借り、聞いてみてもいいのではないかと強く勧めたい。
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【2015/10/11 18:24】 | 研究室旅行 | トラックバック(0) | page top↑|
巨樹が写真のトレーニングに最適すぎる
デイリーポータルZに記事を書きました。
kyoju900.jpg

冒頭、波崎の大タブのところは蚊がすごかった。撮影してる間にザクザク刺される。夏に行く場合はどこも虫除け必須。

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【2015/09/20 22:39】 | 研究室旅行 | トラックバック(0) | page top↑|
山頂で集合する登山がアツい
デイリーポータルZに記事を書きました

okutama900.jpg

彼らとデイリーの企画やるのも、もう3回目か、4回目かな。
企画の意図が何かを説明しなくても感じてくれるので、とても頼もしい。

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【2013/05/15 20:31】 | 研究室旅行 | トラックバック(0) | page top↑|
剱岳行った! ~その3~
夜のテントのことを書こう。

暗闇の中のテントは不安だ。

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風の吹くごごう、ごごごう、という音にはっと目が覚めて、一瞬どこだか分からず、もしかしたら俺は死んで地獄に落ちたのでは無いかと原始的な不安におののき、それからしばらくして、そうだ、山でテント泊してたんだと思い出す。

そして寒い。
ネルシャツ着て、みの虫みたいにシュラフにくるまっても寒い。
最低気温は10℃を割り込む。

テント場で異常なまでに元気なのは、大学生のワンダーフォーゲル連中だ。
体力に任せてバカみたいに大きな荷物を30人ぐらいで運んできて、快適な環境で寝泊まりして、焼きそば作ったりホットケーキ焼いたりしてて、しかも体力は僕よりもあるというずるさ。この日の若者はキャンプ場でマージャンやったり、ウルトラマンの全身タイツで登山したりしていた。
若さってすごい。

しかしそんな彼らも、あまりに元気過ぎて夜中まで騒いでたら、短気なおじさんに怒られしゅんとなってた。
おじさん、そんなに怒らなくてもいいじゃん、とも思ったが、たしかにおじさんは、夜中まで騒いで寝ずに登山しても平気な歳では無いのだ。この気持ちは若者には分からないだろうか。

さてこの日は立山に登る。

tsurugi210.jpg

赤いルートに沿っての、いわゆる「尾根歩き」だ。
荷物は重いが、気は軽い。
NHKスペシャル「チベットの高原をゆく」みたいな気分で荷物を背負ってぺたぺたと道を歩く。

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登山が一番楽しいのは、晴れた夏の日の尾根歩きだ。
花とか咲いててピースフルな感じで気分良く楽しめる。
たまにすれ違う登山者のクマ避け鈴が、ちりーん、ちりーん、と鳴り響く。
まさに天国だ。

ただこの日このコースは本当に人がおらず、クマ避け鈴を持っていなかった僕は、熊に出会う可能性が多分にあり、出会ったらどうしようとおびえながらの行程でもあった。

そういう意味でも、この日の尾根歩きは天国への道だった、と言えるかもしれない。


tsurugi230.jpg


さて、残念ながら天気は曇りで、ほとんどこのあと風景は見えなかったのだが、途中一か所すごくきれいに見えたときがあったので、iPhoneを使ってどーんと合成してみた。

tsurugi240.jpg
クリックで拡大

フォトシンス(Photosynth)というアプリで手軽に撮ることができる。
iPhoneを買ってから、登山がさらに楽しくなった。
パノラマ写真もすぐ撮れるし、星座アプリで夜に見える星も教えてくれる。
歩いた行程をGPSで記録してくれるアプリもあって、冒頭に出した「今日の行程」の画像は、その記録を3Dシミュレーターに乗せたものだ。

ちなみにこの3Dシミュレータ、その場から見える風景を再現してくれるので、けっこう楽しく遊べる。

tsurugi250.jpg
フリーソフト「カシミール3D」で作成。

これは上記の写真を、同じ場所から見るようにシミュレーターで再現したもの。
再現度はかなり高い。
じゃあもう山なんか行かないでこれでいいじゃん、と思うかもだけど、それを言われると返す言葉がない。
いや、でも、実際に行くと雷鳥とかオコジョとかいて、もうちょっと楽しいしさ。

tsurugi260.jpg
花も咲いてるし。

実際、剱岳で僕はオコジョに出会った。
山小屋のお姉さんにそのこと話したら、それは珍しい、オーナーの家族でも年に1回ぐらいしか見ない、と言われてすごく嬉しかった。
初めて見る野生のオコジョは、両手に乗るぐらいのサイズで、あり得ないくらいラブリーであり、すっかり虜になったのだが、帰ってネットで調べると「自分より大きいネズミを食べることもある獰猛な性格」と書いてあり一気に目が覚めた。
この心の揺れ動き、恋愛経験の少なかった十九、二十歳の頃に似ている。

さて、登山も終盤、立山の頂上から黒部ダムを眺めつつ、登山口へと降りていく。
このコースは激しい上下も無く、初心者でも楽しさを満喫できるんじゃないだろうか。いいコースだった。

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頂上(大汝岳:おおなんじたけ)から眺める黒部ダム。岩山もかっこいい。


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頂上(雄山;おやま)の立山神社。


雄山まで来ると急激に人が増えて、めちゃくちゃびっくりした。
さっきの尾根歩きしているときの秘境感とうって変わって、ギャルっぽい若者の集団がいたり、小学生の集団を引率してる張り切ったおっさんがいたり、街中と余り変わらない状態である。

富山の人は、茨城における筑波山と同じ感覚で立山に来るらしい。
というわけで日傘をさしたおばちゃんとか追い抜きながら登山口へ。

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到着、室堂ターミナル。ただいま、文明ゾーン。

いつも文明ゾーンに帰ってきたな、と思わせてくれるのは揚げ物の香りだ。
レトルトが発達した今、山でみんなだいたい何でも食っているが、揚げ物はさすがにできない。
なので、あの香りをかぐと「ああ街中だな」と思わされる。

せっけんで思い切り顔を洗い、ソフトクリームを食べ、文明を味わっていると、遠くにカメラを持った人の人だかりが見えた。
何だろう、と思って近寄ってみると、そこにはオコジョがいた。


話が違う。


しかしそれはまごうこと無きオコジョで、自然観察員の人が言うには、「人慣れしててあまり逃げないんだよねー。肉食べてるとよく寄ってくるよ」とのことだった。
オコジョは10分ばかり愛想を振りまいて山へと消えていったが、剱沢小屋のお姉さんには熱烈に抗議を申し入れたい。

tsurugi300.jpg
しかも僕がカメラを持ち出したら山に逃げていったのも悲しみ深い
(写真はウィキペディアより)



とまあ、こんな感じで今回の登山は終わり。
山に登らなくても、黒部立山アルペンルートだけでも、ダムは見れるし、室堂ターミナルから見る風景もきれいで価値のあるルートだなと思う。

剱岳についてもっと知りたくなった場合は「剱岳・点の記」という映画が有名なので、ぜひぜひそれもご覧になって下さい。

~おまけ~
tsurugi310.jpg
剱岳の雪渓に落ちていた剱。

このネタ、僕もやろうかと一瞬考えたが、こうやって容易にかぶっているところを見ると、ボツにしてよかったと思う。


~その1~はこちら
~その2~はこちら

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【2012/09/02 12:58】 | 研究室旅行 | トラックバック(0) | page top↑|
剱岳行った! ~その2~
朝。
昨夜同様、冷たい飯をもそもそと喰いながら、今日登る剱岳を見て思う。

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これ、どこから登るんだろう。

まるでドラクエの岩山である。

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まあ、日本にも世界にももっとハードな岩山があるだろうけど、登山経験がそんなにあるわけではないので、普通にひるむ。

それはそれとして、本当にきれいな山だ。
何で僕が登山するのかというと、「岩を見るのが好き」という部分がけっこうあるので、この緑と黒の色の具合はたまらなくいい。

でも見とれて過ぎてると陽が登って暑いので、さっさと出発する。

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ちょっと登って見えてきた。
今日僕はこの道を行くらしい。登って下って登って下ってけっこうある。
垂直移動は300mぐらいだなと高をくくっていたので、ちょっと面喰らう。
思ったよりも体力的にハードかもしれない。
でもとにかく岩が美しいので、歩みは気分爽快、宿泊道具はテントに置いてきたのでザックも軽い。

tsurugi103.jpg
とにかくね、岩がきれいなんすよ。岩が。


というわけで前剱に到着。


tsurugi104.jpg
キャンプ地からの道を見返す。

ここまでは登りとしては急なのだが、取り立てて危険ということは特にない。
問題はこの先、剱岳までの間である。
噂によると、ひどく危険らしい。


tsurugi105.jpg
剱はもう目の前だけど……

特に「カニのタテバイ」と呼ばれる難所が有名である。
名前の通り、タテにカニが這うようにして崖を15mほど直登するのである。

残念なことに、このとき道が渋滞しており、周りに迷惑をかけないよう集中していたらカメラの設定をミスってしまい、いい写真が撮れなかった。
唯一残ってるのがこれだ。

tsurugi106.jpg


写真では全く分からないが、小さく写ってる人が崖の真下にいる人である。
まあでも、登りは下が見えないので気にしなければそんなに怖くない。
それよりも僕は、ここの場所だけ突然ソフトバンクの電波が入り、上司からの着信の連絡がケータイに現われた方にびっくりした。
ソフトバンクの皆さんは注意して下さい。

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このあとも次々と現れる難所。鎖を頼りにして進んでいく。


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で、頂上。この先下ります。

剱岳は下りの方が危ないらしい。
コース全体で最も危険な「カニのヨコバイ」という難所がある。


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これは、僕の前にいたおばちゃんがカニのヨコバイを降りるときの様子である。あまりに急過ぎて、どこがどうなってるのか分からないので、別角度から見てみよう。
このおばちゃんが、どのように降りようとしているかというと、

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ここの崖を矢印のように上から下へと足をかけているところである。

途中で一か所、斜めにぐいっと伸ばさないといけないところがあり、このおばちゃんはめちゃくちゃ苦労してたので、さすがに写真撮るのやめて「大丈夫ですか」と声をかけた。
このおばちゃんは無事に渡れたが、本当に危なっかしく、こんなところにおばちゃんが来ちゃいけないだろう、と思ったのだが、まさにこの翌日、60歳の女性がここで滑落して死亡したらしいので笑えない。

と、このようにさらに続く難所を乗り越え、キャンプ地に帰るのだった。


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登ったぜ……。剱岳……。

とにかく鎖場の多い登山だったので、メンタルも集中して無我夢中だったけど、降りてくると「登ったぜ……」という気持ちが湧いてくる。キャンプ場からの剱も真昼の光を浴びて美しい。
これ、写真だと5%ぐらいしか伝わらないですが、現物が目の前にあると、ほんとにどどーん!と大迫力。

そして疲れた僕に嬉しい出来事がテントで起こるのだった。


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火が!火がついた!!

あれだけ僕の精神を弱らせたバーナーの故障が多少回復し、弱火ながら火がつくようになっていたのである。きっと剱を登り切った僕への神からの褒美だろう。
僕は感涙にむせびながら2日ぶりのあたたかいご飯を食べ、あきらめかけていた「フリーズドライ豚汁」に湯を注ぎ、登頂で使い果たした体力を回復させた。
あたたかい、あたたかい、ご飯があたたかいことって、こんなに素敵なことなんだね。
生きてきてこんなに熱をありがたく思ったことは無い、と書きたいところだが、去年の大震災で茨城在住の僕は、もうちょっとひどい思いをしたのでこれが2回目だ。それでも充分に嬉しいことである。

そしてちょっとだけ今回の禁を犯し、山小屋でビールを一本だけ買って、暮れゆく剱岳の姿を眺めながら味わい、一日を終えたのであった。


tsurugi113.jpg


~その1~はこちら
~その3~はこちら

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【2012/09/01 02:19】 | 研究室旅行 | トラックバック(0) | page top↑|
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