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携帯電話が「詩韻変換」する。
ある日、まさゆきGTは飲み会の誘いに返事のメールを打っていた。


shin-yokaro1.jpg

しかしそこで誤ってキーを押したらこんな表示が。

shin-yokaro2.jpg


「輩(やから)をマンですよ」


なんだこのバカバカしい文は。

なぜこうなったかというと、この携帯にはいわゆる「子音変換」「あかさたな変換」と言われる機能がついていて、子音のみから文章を変換してしまうのだ。つまり、
「よかろーもんですよ」
→「YKRWMNDSY」
→「やからをまんですよ」

となるわけ。(「を」と「ー」は同一行扱い)

それにしてもなんだろう、この文の匂い立つバカらしさ。「輩をマンですよ」。
これはもはや詩のレベルに達していないか?
いや、詩だ。
間違い無い、これは詩だ。

というわけでこれを「子音変換」から一歩進んで、「詩韻変換」と命名して、詩韻変換による現代詩作成の可能性を探ってみたいと思う。

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題材にする文章は詩。
詩を携帯に「詩韻変換」してもらって、新たな詩に生まれ変わらせてみることにした。

まず日本の現代詩人と言えばこの人、谷川俊太郎。
shin-tanikawa0.jpg

詩をほとんど知らない人でも聞いたことはある現代詩界のビッグネームだ。
僕は『鳥羽』という詩が好きなのだが、ここは知名度の高い『二十億光年の孤独』で勝負。


「二十億光年の孤独に 僕は思わずくしゃみをした」

shin-tanikawa1.jpg
23文字までしか入力変換できないので、途中で切れるのはいたしかたない。
それで詩韻変換させた結果がこれ。

shin-tanikawa2.jpg

「二重行き来 兄を 肉つき値引きは思わず」

最高だ。最高の現代詩だ。こんな詩、俺には書けない。
詩韻変換、一発目から期待を裏切らないプレイだ。


続いては日本の現代詩はこの人を抜きに語れない。白石かずこ。
shin-tori0.jpg

詩は『鳥』より

「バイバイブラックバードを 粋に唄ってやりながら」

shin-tori1.jpg
↓↓↓↓↓↓↓↓↓ 詩韻変換! ↓↓↓↓↓↓↓↓↓
shin-tori2.jpg

「防備脂とか バンドを行いって 頼る脱ぐ」

うーむ。いい。
冒頭の防備脂(ぼうびあぶら)でもう完全に負けた感がする。
そして頼る脱ぐ。弱い女の生きる術かな。


さらにはじめの趣旨に従って、もう一人現代詩人いきます。
戦後最大の現代詩人、田村隆一。
shin-40000.jpg

詩は『四千の日と夜』より。

「四千の夜の憐みを われわれは暗殺した」

shin-40001.jpg
↓↓↓↓↓↓↓↓↓ 詩韻変換! ↓↓↓↓↓↓↓↓↓
shin-40002.jpg

「ユース罠 揺れない割れ目を 我々は鰯と差」

ああ。
なんてエロティック。
若き頃の罠に、揺れない割れ目なんて。
「われわれは」の部分だけは正確に変換されたりしてるのが、この詩韻変換の魅力でもあると思う。


現代詩にもそろそろ飽きたので、古いの行ってみよう。
我々日本人に古くから受け継がれる定型詩「百人一首」より。
shin-shinobu0.jpg


「忍ぶれど 色に出にけり わが恋は」 
(ものや思うと 人の問うまで)
耐え忍ぶ恋が原因でやつれてしまった男の哀しい一首だが……

shin-shinobu1.jpg
↓↓↓↓↓↓↓↓↓ 詩韻変換! ↓↓↓↓↓↓↓↓↓
shin-shinobu2.jpg

「スノボロデオ リナ殿から誤解は」

スノボロデオって何なのか。
恋の相手は「リナ殿」だったのか。誤解でやつれたのか。
いろいろと思わされる名詩韻変換だ。


同じく古来の定型詩、俳句行ってみよう。
shin-matsu0.jpg


松尾芭蕉の有名な句を二句。

shin-matsu1.jpg
↓↓↓↓↓↓↓↓↓ 詩韻変換! ↓↓↓↓↓↓↓↓↓
shin-matsu2.jpg




shin-matsu3.jpg
↓↓↓↓↓↓↓↓↓ 詩韻変換! ↓↓↓↓↓↓↓↓↓
shin-matsu4.jpg



またまた、完璧なプレイ。素読しよう。大和市も病み上がり。


次に海外の詩に行ってみる。まずは『マザーグース』から「ハンプティ・ダンプティ」
shin-mather0.jpg

「ハンプティ・ダンプティ へいの上に座ってた」

shin-mather1.jpg
↓↓↓↓↓↓↓↓↓ 詩韻変換! ↓↓↓↓↓↓↓↓↓
shin-mather2.jpg

「貧富と腕と プチ違法な大西を父と」

大西はおそらく、プチ違法な手段で成金になったのだろう。
穢れ無きガチョウ母さんの世界に犯罪の色が。


格調高いのも行ってみる。
世界最大の詩人の一人であるパブロ・ネルーダの『マチュピチュの頂』より。

「ジャスミンの花に 盲(めしい)のごとく還りついた」
shin-machu1.jpg
↓↓↓↓↓↓↓↓↓ 詩韻変換! ↓↓↓↓↓↓↓↓↓
shin-machu2.jpg

「ジャスミンの花飲ます鰻とか 帰れたい津」

うなぎ。
マチュピチュの頂にうなぎ。
津市ってうなぎの名産だったっけ。


さて、そろそろ趣旨を忘れて詩から離れてみます。

まずは小説。
shin-meros0.jpg
太宰治『走れメロス』冒頭。
「にほんごであそぼ!」カルタにも『め』の札で選出された名文。

「メロスは激怒した。メロスは政治がわからぬ。」

shin-meros2.jpg
↓↓↓↓↓↓↓↓↓ 詩韻変換! ↓↓↓↓↓↓↓↓↓
shin-meros1.jpg

「無利子は激怒して、無利子は掃除がわかるね」

激怒したあとに諭されてます。
掃除がわかるね、無利子。


次にマンガ。
名ゼリフといえばこれしかないでしょう。
shin-jojo0.jpg

「ジョジョ 俺は人間をやめるぞ!」

shin-jojo1.jpg
↓↓↓↓↓↓↓↓↓ 詩韻変換! ↓↓↓↓↓↓↓↓↓
shin-jojo2.jpg

「叙情らは人間を辞めるザ!」

辞めるTHE。
名詞のつくべき冠詞THEを文末に持ってくる文法を超越した手法はまさに脱構築。まさに現代詩。

最後にアニメ。
もう説明するまでも無い名セリフ。

「その者碧き衣を纏い 金色の野に降りたたん」

shin-naushika1.jpg
↓↓↓↓↓↓↓↓↓ 詩韻変換! ↓↓↓↓↓↓↓↓↓
shin-naushika2.jpg

「品物言いかけるメンマと行くを 雑魚寝七色」

雑魚寝七色。
雑魚寝という猥雑な行為に潜む美しさをまさに言葉を用いて現出させる、詩の機能を完全に全うさせた作品と言える。

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結論

とまあここまで紹介してきた詩韻変換だが、ここに紹介した以外にも、あまりに名作を次々と生み出すので正直、選定に悩んだ。どれを変換してもそれなりに楽しめる。可能性を探る研究であったが、その成果は思わぬ大収穫であったと言って良いだろう。

僕なりに発見した楽しむポイントは
①なるべく長い文章を打ち込む。(子音変換機能はなるべく文節を長くとろうとする?気がするから)
②自分なりに思い入れのある言葉や、格調高いフレーズで試す。(そのほうがギャップがあってよい)
あたりだろうか。
空き時間にちょこちょこっと打って楽しめるので、ぜひ皆さんも楽しんでみて欲しい。


この詩韻変換の元になった名セリフは何でしょう?
shin-baske1.jpg


正解:「先生、バスケがしたいです……」

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【2008/12/07 18:00】 | 文学研究室 | トラックバック(0) | page top↑|
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