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昔働いていたバーのこと。その2
前編はこちら。

~4.キンタさんの登場~
4月にバイトを始めて2ヶ月、客はゆっくりと減り、店の向かう先が極めて不安になってきた頃、一人のバイトが新たに加入する。

バイトと言っても年の頃は35くらい、鋭い目つきがかっこいい、プロの料理人キンタさんだ。キンタさんはこの界隈ではちょっと有名な人で、若い折りはショーパブでコロッケのようなものまねショーをやって大人気を博していたらしい。うちの店に来る前は、現在のつくば駅前にある居酒屋の店長もやっていたのだが、店の売上をいくら上げても給料が上がらないので辞めた、と言っていた。
僕があれだけマスターに対する不満を募らせていたのに、バイトをその後も続けたのはキンタさんの存在によると言い切ってもいい。キンタさんはマスター代理のような形でほぼ毎日シフトに入り、事実上のチーフとして店を切り盛りするようになった。キンタさんは目下の僕らにとても優しく、つまみの豆知識やフルーツの飾り切りのテクニックなんかを丁寧に教えてくれた。この人と一緒に働くのが楽しくてバイトにも行くようになったし、キンタさんに「加藤君がいるとドリンク全部任せられるから安心するよ」なんて言ってもらえるのも嬉しかった。
また、これは偶然なのだけれど、キンタさんと僕は同じ千代田区の出身だった。千代田区は東京23区内でも極めて人口が少ないので、外に出て同じ区内の出身の人と出合うのはほとんど無いから、これがいまのところ最初で最後になっている。そんな連帯感もあり、6月下旬から7月、8月半ばくらいまでは、かなり平穏にバーテン生活が過ぎていった。


~5.キンタさん退場~
ある日バイトに入ると、キンタさんが見たこと無いぐらい体を震わせて怒っていた。原因を聞くと、やっぱりマスターだった。マスターがバイトの給料をごまかしていたのだ。法律の話は詳しくはないのだけれど、労働基準法で5時間連続で働く際には30分の休憩、8時間連続で働く際には1時間の休憩をはさまなければならない、と決まっているらしい。キンタさんは大体毎日6時間、週末には8時間以上バイトに入っていたのだけれど、給料からその休憩時間分が全部差し引かれていたらしい。もちろん、マスターからは休憩取っていいよ、なんていう事前説明はナシである。激怒したキンタさんは空手2段の凄みを発揮してマスターに大ブチ切れ。さすがの頑固なマスターもグダグダ言いながら認めて、その分を支払ったのだけれど、キンタさんの店に対するやる気は完全に消滅、バイト陣全員の不信を一気に高まらせる結果となった。それまでキンタさんはお客さんを店に呼ぶためにこういうメニューを作りましょうか、的なこともマスターに言っていたのだけれど、この一件以来、なんで俺が店のために俺個人のアイデア使わなきゃいけないんですか、的なスタンスでマスターに接するようになった。
そして8月いっぱいでキンタさんは店をやめることになった。夢は「自分の店を持つ」ことだったキンタさん、9月からは千葉の工事現場で働いて金を貯める、とのことだった。去り際に「加藤君も、早くこの店はやめた方がいいよ」とアドバイスしてくれたキンタさん。そしてこうも言っていた
「やっぱり、この店のために頑張ろう、ってバイトが少しでもいいから思える店じゃなきゃダメだよ」
この一言は、今でも僕の大事な人生訓の一つになっている。


次回
~6.衰退、そしてママ時代へ~
~7.さようなら、バッカス~

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【2009/09/21 22:10】 | 食品研究室 | トラックバック(0) | page top↑|
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